体外受精・顕微授精で得られた胚を、最適なタイミングで子宮内に戻す処置です。胚の状態と子宮内膜のコンディションを精密に見極め、着床率の最大化を目指します。
胚移植とは
胚移植(ET:Embryo Transfer)は、体外で受精・培養した胚を細いカテーテルで子宮腔内に戻す処置です。超音波ガイド下で慎重に行い、痛みはほとんどなく数分で完了します。
胚移植には大きく分けて「新鮮胚移植」と「凍結融解胚移植」の2つの方法があります。近年は胚を一度凍結保存し、子宮内膜の状態を最適に整えたうえで移植する凍結融解胚移植が主流となっており、妊娠率の向上に大きく寄与しています。
当院では胚の発育状態と子宮内膜の厚さ・パターンを総合的に評価し、最も着床しやすいタイミングで移植を行います。
移植方法の種類
| 新鮮胚移植 | 凍結融解胚移植 | |
|---|---|---|
| タイミング | 採卵周期に移植 | 凍結保存後、別周期で移植 |
| 内膜の状態 | 排卵誘発の影響を受ける場合がある | 最適な状態に整えてから移植 |
| 妊娠率 | やや低い傾向 | 高い妊娠率 |
| OHSSリスク | やや高い | 回避できる |
| メリット | 採卵から移植まで1周期で完結 | 内膜を万全に準備できる |
当院では凍結融解胚移植を基本としつつ、患者様の状態や胚の発育状況に応じて新鮮胚移植も選択します。
移植する胚のステージ
| 初期胚(分割期胚) | 胚盤胞 | |
|---|---|---|
| 培養日数 | 採卵後2〜3日 | 採卵後5〜6日 |
| 細胞数 | 4〜8細胞 | 100個以上 |
| 着床率 | 約15〜20% | 約40〜50% |
| 選別精度 | 形態評価のみ | 発育能力の評価も加わる |
| 適応 | 胚盤胞到達が難しい場合 | 多くの症例で第一選択 |
当院では胚盤胞移植を基本としていますが、過去の治療歴や胚の発育状況により初期胚移植が有利と判断される場合はそちらをご提案します。
凍結融解胚移植の流れ
子宮内膜の準備
月経開始後からエストロゲン製剤(貼り薬・内服薬)を使用し、子宮内膜を十分な厚さに育てます。ホルモン補充周期法と自然周期法があり、患者様の状態に応じて選択します。超音波検査で内膜の厚さとパターンを定期的にモニタリングします。
黄体ホルモン開始・移植日決定
内膜が十分に発育したことを確認し、黄体ホルモン(プロゲステロン)の投与を開始します。黄体ホルモン開始日を基準に、胚のステージに合わせて移植日を決定します。胚盤胞移植の場合は黄体ホルモン開始後5日目が移植日となります。
胚の融解
移植当日の朝、凍結保存していた胚をガラス化法により融解します。融解後の胚の生存と発育状況を確認し、移植に適した状態であることを確かめます。当院のガラス化凍結技術による融解後の胚生存率は極めて高い水準を維持しています。
胚移植
超音波ガイド下で、柔らかいカテーテルを子宮腔内に挿入し、胚を子宮内膜の最適な位置に移植します。処置は5分程度で完了し、痛みはほとんどありません。移植後は短時間の安静の後、そのままお帰りいただけます。
黄体管理・妊娠判定
移植後は黄体ホルモンの補充を継続し、着床と妊娠初期の維持をサポートします。移植後約10〜14日で血中hCG検査により妊娠判定を行います。陽性の場合は心拍確認まで引き続きサポートし、陰性の場合は次の治療方針を丁寧にご相談します。
当院の胚移植の特徴
最適なタイミングの見極め
超音波による内膜の厚さ・パターン評価とホルモン値を組み合わせ、着床に最も適したタイミングを精密に判断します。
高い凍結融解技術
ガラス化法による凍結・融解技術で、胚の損傷を最小限に抑えます。融解後の生存率は極めて高い水準を維持しています。
最新鋭の超音波ガイド下移植
最新鋭の超音波機器を導入し、子宮内膜の状態とカテーテルの位置をより鮮明に確認しながら移植。胚の着地点をミリ単位で正確にコントロールします。
アシステッドハッチング
透明帯が厚い場合や凍結融解胚では、レーザーで透明帯の一部を薄くし、胚の脱出と着床を補助します。
試験胚移植による正確な移植
採卵時にあらかじめ試験胚移植を実施し、一人ひとりの子宮形態に合わせた最適なカテーテル挿入経路を事前に把握。本番の移植をより安全・正確に行います。
SEET法
胚盤胞移植の前日に培養液を子宮内に注入するSEET法にも対応。子宮内膜の受容能を高め、着床率の向上を図ります。
移植後の過ごし方
費用の目安
胚移植は保険適用の治療です(回数制限あり)。
※ 費用は保険適用(3割負担)の目安です。内膜調整の薬剤費等により変動します。高額療養費制度の利用により自己負担がさらに軽減される場合があります。