染色体検査
ご夫婦のいずれかに染色体の構造異常(転座・逆位)がある場合、受精卵の染色体に不均衡が生じやすくなり、流産を繰り返す原因となることがあります。血液検査で染色体の構造を調べ、不育症との関連を評価します。
染色体異常と不育症の関係
ヒトの染色体は通常46本(23対)で構成されています。このうち、染色体の一部が入れ替わっている「転座」や、一部が逆向きになっている「逆位」といった構造異常を保因している方は、ご自身には健康上の問題が生じませんが、次世代に染色体の過不足(不均衡型)が生じる確率が高くなります。
不育症のご夫婦の約5〜10%で、いずれかのパートナーに染色体の構造異常が見つかるとされています。これは一般人口の約0.2%に比べて有意に高い頻度です。
染色体の構造異常そのものを治療することはできませんが、原因が判明することで今後の治療方針の選択や遺伝カウンセリングにつなげることができます。
主な染色体構造異常
転座
2本の異なる染色体の一部が互いに入れ替わった状態です。最も多い構造異常で、不育症との関連が最も強いタイプです。均衡型転座の保因者は健康ですが、配偶子(卵子・精子)形成時に不均衡が生じると、流産や染色体異常児の出生につながります。
部分的に交換
長腕で融合
逆位
1本の染色体の一部が切断され、逆向きに再結合した状態です。転座と同様に保因者ご自身は健康ですが、配偶子形成時に染色体の組換えが正常に行われず、不均衡な配偶子が生じる可能性があります。
同一腕内の逆転
両腕にまたがる逆転
検査方法
ご夫婦それぞれの血液を採取し、リンパ球を培養して染色体を分析します。Gバンド法により染色体を染色し、46本すべての染色体の数と構造を顕微鏡下で詳細に観察します(核型分析)。
検査はご夫婦それぞれに行う必要があります。どちらか一方のみに異常がある場合でも流産の原因となるため、必ずお二人でお受けいただくことをお勧めしています。
異常が見つかった場合の対応
原因の明確化
染色体の構造異常が判明することで、これまでの流産の原因が明らかになります。原因がわかること自体が、今後の治療方針を組み立てるうえで非常に大きな意味を持ちます。
治療方針の最適化
検査結果に基づき、自然妊娠を目指すか体外受精へ進むかなど、ご夫婦にとって最善の治療戦略をオーダーメイドでご提案します。
専門施設との連携
より高度な遺伝学的検査や着床前検査が必要と判断された場合は、連携する専門施設へスムーズにご紹介いたします。
このような方に検査をおすすめします
検査を受けられる方へ
染色体の構造異常は「病気」ではなく、ご本人の健康には全く影響しない体質的な個人差です。検査結果を知ることは心理的な負担を感じることもありますが、原因を正確に把握することで、治療の方向性がより明確になります。
構造異常が見つかった場合でも、自然妊娠で正常な染色体の赤ちゃんを授かる可能性は十分にあります。転座の種類や過去の妊娠歴を踏まえ、一人ひとりに合った最善の方針をご夫婦と一緒に考えてまいります。
検査結果のご説明は担当医が直接行い、ご不安やご質問にも丁寧にお答えします。必要に応じて専門施設との連携体制も整えておりますので、安心してご相談ください。
費用の目安
染色体検査は自費診療となります。ご夫婦それぞれに検査が必要です。
※ 結果に応じて追加の精密検査や専門施設へのご紹介が必要となる場合があります。詳しくは診察時にご説明いたします。