子宮形態検査
子宮の形態異常(子宮奇形)は、不育症の原因として見落とされやすい因子の一つです。超音波検査を中心に子宮の形状を詳しく評価し、流産リスクとの関連を精査します。
子宮形態異常と不育症の関係
子宮は胎児の発育期に左右のミュラー管が癒合して形成されます。この癒合過程に異常が生じると、さまざまな形態異常(子宮奇形)が発生します。子宮奇形は女性の約3〜5%に認められますが、不育症の方ではその頻度が10〜15%に上昇するとされています。
形態異常があると、子宮腔内のスペースの制限や血流分布の偏りにより、胚の着床障害や胎盤形成不全が起こりやすくなります。また、子宮内腔に突出する中隔がある場合、中隔部分は正常な子宮内膜に比べて血流が乏しく、そこに着床した胚は十分な栄養供給を受けられず流産に至ることがあります。
子宮形態異常は先天性のものであり、自覚症状がないため、検査をしなければ発見されません。不育症の原因精査において、超音波検査による形態評価は欠かせないステップです。
主な子宮形態異常の分類
| 分類 | 特徴 | 流産との関連 | 治療の可能性 |
|---|---|---|---|
| 中隔子宮 | 子宮内腔に線維性または筋性の壁(中隔)が残存 | 最も高い | 子宮鏡下中隔切除術 |
| 双角子宮 | 子宮の上部がハート型に二つに分かれている | 中等度 | 子宮形成術(重症例) |
| 弓状子宮 | 子宮底部がわずかに凹んでいる軽度の変形 | 低い | 通常は経過観察 |
| 単角子宮 | 子宮の片側のみが発育し、細長い形状 | 中等度〜高い | 外科的治療は困難 |
| 重複子宮 | 子宮が完全に二つに分離している | ケースによる | 中隔切除で改善する場合あり |
中隔子宮は子宮奇形の中で最も流産率が高い一方、子宮鏡下手術で中隔を切除することにより妊娠予後を大きく改善できる唯一の形態異常でもあります。
検査方法
経腟超音波検査
最も基本的かつ負担の少ない検査方法です。経腟プローブを用いて子宮の形状・内腔の対称性・内膜のパターンを観察します。3D超音波を用いることで、子宮底部の形状をより正確に評価できます。
子宮鏡検査
細いカメラ(子宮鏡)を子宮内に挿入し、子宮内腔を直接観察する検査です。中隔の有無やポリープ・筋腫の確認に優れています。超音波検査で異常が疑われた場合に精密検査として実施します。中隔が見つかった場合はそのまま切除術に移行できるケースもあります。
異常が見つかった場合の治療
子宮鏡下中隔切除術
中隔子宮の場合に最も有効な治療です。子宮鏡で子宮内腔を観察しながら中隔を切除し、正常な子宮腔を回復させます。入院を伴わない日帰り手術が可能なケースもあります。
妊娠管理の強化
手術適応がない形態異常(弓状子宮・単角子宮など)の場合は、妊娠後の頸管長測定や子宮収縮の管理を密に行い、流産・早産のリスクを最小限に抑えます。
移植位置の最適化
体外受精の胚移植の際に、形態異常を考慮して血流が良好な位置に胚を移植します。子宮の形に応じた戦略的な移植が妊娠率の向上に寄与します。
このような方に検査をおすすめします
費用の目安
超音波検査は保険適用で実施可能です。子宮鏡検査も保険適用となります。
※ 保険適用(3割負担)での目安です。手術が必要な場合は高額療養費制度の利用により自己負担がさらに軽減されます。詳しくは診察時にご説明いたします。