微量元素検査
近年、血中の亜鉛と銅のバランスが妊娠の維持に重要な役割を果たすことが明らかになってきました。微量元素の異常は見過ごされやすい不育症の原因の一つであり、比較的簡単な血液検査で評価することができます。
亜鉛・銅と不育症の関係
亜鉛と銅は体内で互いに拮抗関係にある微量元素です。亜鉛は細胞分裂・DNA合成・免疫機能の維持に不可欠であり、妊娠初期の胚の発育や胎盤の形成に深く関わっています。
一方、銅は適量であれば必要な元素ですが、相対的に銅が過剰(銅/亜鉛比が高い)な状態では、酸化ストレスの増大や免疫バランスの乱れが生じ、流産のリスクが上昇することが報告されています。
不育症の検査としてはまだ新しい概念ですが、他の原因が見つからない場合に微量元素のバランスを調べることで、治療の糸口が見つかることがあります。
亜鉛と銅それぞれの役割
亜鉛(Zn)
細胞分裂やDNA複製に必須の元素。妊娠初期の急速な細胞増殖を支えます。免疫調節にも関与し、Th1/Th2バランスの維持に貢献しています。
胚の発育障害、胎盤形成不全、免疫バランスの乱れ、酸化ストレスの増大
銅(Cu)
鉄代謝や結合組織の形成に関与する必須元素。適量は必要ですが、亜鉛に対して相対的に過剰になると問題が生じます。
活性酸素種(ROS)の増大、亜鉛吸収の阻害、炎症反応の亢進
検査内容
血液検査で血清中の亜鉛濃度と銅濃度を測定し、その比率(Cu/Zn比)を算出します。個々の値だけでなく、両者のバランスが重要です。
Cu/Zn比が高い(=相対的に銅過剰・亜鉛不足)場合、不育症との関連が示唆されます。食事やサプリメントの情報もあわせて評価し、治療方針を検討します。
異常が見つかった場合の治療
亜鉛補充療法
亜鉛欠乏が確認された場合、医薬品の亜鉛製剤やサプリメントによる補充を行います。定期的に血中濃度をモニタリングしながら、適正値を維持します。
食事指導
亜鉛を多く含む食品(牡蠣・赤身肉・ナッツ類など)の積極的な摂取を指導します。銅の過剰摂取につながる食品についてもアドバイスいたします。
定期的な再検査
補充療法開始後、1〜2ヶ月ごとに血中の亜鉛・銅濃度を再測定し、Cu/Zn比が改善しているかを確認します。改善が確認できてから妊娠を目指します。
このような方に検査をおすすめします
費用の目安
亜鉛・銅の測定は保険適用で実施可能です。
※ 保険適用(3割負担)で検査・治療ともに数千円程度です。サプリメントは自費となります。